パソコン出願の裏技研究

Several tips for facilitating PC patent applications

本稿は『パテント』1998年6月号に掲載された記事に補足用のリンクを追加したものです
         弁理士 二宮 正孝

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目次
1 はじめに
2 一太郎文書HTML変換プログラム
3 FAXでイメージデータ作成
4 JIS−FDはどうするか
5 X−FDの正体
6 フリーソフトの利用法
7 ダイヤルQ2でインターネット
8 TCP/IPはよく切れる
9 2台のパソコンでパソコン通信
10 文字放送で英語の勉強
11 秋葉原流れ旅
12 むすび
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1 はじめに
 弁理士業務にとってパソコンの重要性が高まってきたこの時期にいよいよパソコン出願が開始されますが、Windows95 は起動するのに長い時間を必要とし、大量のバックアップファイルがハードディスクに蓄積されて空き容量が減少していくなど、パソコンを道具として使っている者にとってあまり快適ではありません。
 明細書作成などのルーチンワークは専用ワープロで処理した方がはるかに迅速ですし、MS-DOS でできる作業は MS-DOS でやった方が簡単です。そこで、パソコン出願を少しで も楽にする裏技(Tips)をいくつか紹介します。

2 一太郎文書HTML変換プログラム
2.1 HTML変換の問題点
 平成10年(1998年)4月からパソコンによる電子出願が可能となるのに従い、弁理士業務にとって、明細書などの特許文書をいかに効率良くHTML文書に変換するかが重要なポイントとなります。
 最新の一太郎 ver8 Office Edition R2(ジャストシステム社製)やWord97(マイクロソフト社製)にはHTML文書への変換機能がついていますが、これらを利用すると、特許庁のパソコン出願ソフトがサポートしていない多数のタグが付けられたり、半角の空白と全角の空白、上付下付の添字、罫線、○付き数字、タブコードなどが正しく変換されないという問題点があります。
 そこで筆者は一太郎文書をパソコン出願ソフトの仕様に合致させたHTML形式に自動変換するプログラムを開発しました。
2.2 一太郎文書について
 ワープロソフト一太郎は ver3からver8まで進化し、OASYS文書、WORD文書、テキストファイル等を読み込める点で、弁理士業務にも広く使われていますが、本プログラムでは ver5のJAW文書と ver6のJBW文書を元にして特許出願用のHTML形式に変換することを企画しました。なお、ver6.3は ver6にインターネット用のプログラムを追加したもので、文書ファイルは ver6と共通のようです。
2.3 HTML変換方法
本プログラムは一太郎 ver5,6のJAW、JBWファイルからテキスト部分を抜き出して修正し、特許出願用のHTML形式に変換するものです。すなわち、
(1) 先頭に<HTML><HEAD><TITLE></TITLE></HEAD><BODY>を追加
(2) 最後に</BODY></HTML>を追加
(3) 復帰改行記号の 0x0d0x0a の前に<BR>を追加
(4) 添字の上付は数字とアルファベット+−=は半角にし前後に<SUP></SUP>を追加
(5) 添字の下付は数字とアルファベット+−=は半角にし前後に<SUB></SUB>を追加
(6) 罫線は細罫線をシフトJISコードの罫線素片に変換
(7) 横倍角と4倍角は前後に<FONT SIZE=6></FONT>を追加
(8) 【数○】【化○】【表○】と、明細書以外の【図○】の次の行に<IMG SRC="????.BMP">を挿入。???? の部分はHTML変換後に修正する
(9) 半角空白は連続2個は全角の空白に変換し、単独の半角空白はそのまま残す
(10)タブコードは半角空白に置換
(11)パソコン出願ソフトの仕様でスペシャルキャラクターとされている<>”&の半角文字は&#付きのコードに変換
(12)○付き数字は一太郎コードからシフトJISコードに変換
(13)パソコン出願ソフトの仕様でサポート外となっているタグは一切付けない
(14)MS-DOS でも Windows3.1 でも Windows95でも実行可能
2.4 配付方法
 本プログラムは筆者のホームページからダウンロードできるようになっているので、使ってみたい方は
http://www.ninopat.com/ にアクセスして下さい。
ダウンロードするページはここをクリック

3 FAXでイメージデータ作成
 電子出願では特に図面からイメージデータに変換する操作が面倒です。イメージスキャナはその接続や設定が容易でなく書類を作成する際のネックになっています。
 ところが最近のパソコンには標準でFAXモデムとFAXデータ取り込み用のソフトが付いているので、電話器が2台あれば、FAXのファインモードで図面を送信してパソコンで取り込めば、200dpiの図面データ(通常はBMP形式)が作れます。
イメージデータをBMP形式で作成した場合は、パソコン出願ソフト内部で画像データの圧縮処理が行われXフォーマットに変換されるので、送信データ量を少なくするためにわざわざGIF形式に変換する必要はないようです。
FAXで200dpi図面デ−タを作成するにはここをクリック

4 JIS−FDはどうするか
 平成10年12月末で JIS-FD の受付が終了するとされているので、今まで出願データを JIS-FD で保存していた方は、今後は別の形式、例えばOASYSや一太郎文書にして図面データは圧縮されたGIF形式で保存する方が有利です。
 パソコン出願の拡張ソフトには JIS-FD のドライバが付いてくるものもあるようですが、そもそも最新のパソコンにはFDドライブの仕様から JIS-FD の1セクタ 128 バイトというフォーマットが読めない機種がありますから、JIS-FD ドライバに依存するのは危険です。
OASYS-FD・JIS-FDが読めないパソコンはここをクリック

5 X−FDの正体
 パソコン出願では新たに X-FD が登場し、平成11年からはISDN回線に障害があった場合などに限って X-FD を提出できるようです。ただし X-FD は MS-DOS 形式ではあっても、ファイルの中身は JIS-FD と同じJISコードと制御文字列が使われているので MS-DOS 用のワープロソフトでは読めません。イメージデータも圧縮されて格納されているので、X-FD の中身を表示させるにはパソコン出願ソフトが必要です。

6 フリーソフトの利用法
 パソコン雑誌やインターネットで配布されているフリーソフトの中にはパソコン出願の図面データ(BMP・GIF)を MS-DOS 上で表示できるソフト、例えばNGIF・GLOAD・BMP98など多数の便利なソフトがあります。
 EDIXというエディタソフトを使えば X-FD の日本語部分の一部は読めますが実用的ではありません。

7 ダイヤルQ2でインターネット
 パソコン出願はインターネットとは回線が接続されていませんが、パソコン出願を安定して継続していくにはインターネットを通じて供給されているユーザーサポートを受けることが必要です。
 実際、筆者の所有するNECのカラーインクジェットプリンタPICTYは、パソコン出願ソフトのサンプル図面も登録原簿も印刷できなかったのが、インターネットで配布されている最新のプリンタドライバに入れ替えたら完全に印刷できるようになりました。ターミナルアダプタについても、インターネットを通じてオンラインバージョンアップが行われています。
 特許庁もホームページで英文特許公開公報等を提供していますし、米国特許庁やIBMが提供している米国特許情報は詳細なものですからインターネットは絶対に必要です。
 インターネットから情報を入手するには、プロバイダと契約せずダイヤルQ2で接続する方法があります。3分10円(ZZZインターネット)と、プロバイダと契約するよりも安く入会金も会費もいらないので大変お得です。Eメールのアカウントが無料で持てるサービスもあります。筆者が加入しているプロバイダは不定期にメンテナンス休日があるのでセカンドプロバイダとしてダイヤルQ2を利用しています。
 無料でインターネットを体験できるスポットも、数は減りましたが、銀座のソニービルや秋葉原のNEC Bit-inn などいくつか存続していますから、利用すると便利です。

8 TCP/IPはよく切れる
 パソコン出願のための接続確認試験と高負荷試験を受けましたが、通信中に切れてしまう状態がよく起こるのが気になります。インターネットでは人気のサイトにアクセスが集中すると回線が切れてしまうのは当り前で実害もないのですが、パソコン出願では不安を感じるでしょうから、送信途中で回線が切れた場合の処置を明確にして欲しいものです。 40件連続出願して30件目で送信が切れた場合は、送信済の29件についても受領書が発行されないようなので、直ちに続行処理が必要になります。
 筆者のパソコンでは回線が切れた状態の画面を保存しようとしてCOPYキーを押したら Windows95 の画面がフリーズしてマウスが動かなくなり、電源キーを5秒間押してOFFにし、再起動して SCANDISK で復旧しました。メモリが32MBあってもこのありさまですから Windows95 には注意が必要です。

9 2台のパソコンでパソコン通信
 パソコン出願に使われるパソコンは3.5インチドライブ1個だけというのがほとんどでしょうから、5インチドライブの旧型パソコンとデータを交換するには、RS-232C クロス(リバース)ケーブルで接続し、フリーソフトの MONOLINK 等を使ってデータを送信するのが便利です。

10 文字放送で英語の勉強
 パソコンに文字放送用のボードを付ければ無料で文字放送(山手線車内で放送中)が見られます。弁理士業務に役立つ情報として産業ニュースや外国為替相場もありますが英語ニュースがお勧めです。パソコン出願手続きは英語出願の翻訳書提出にも使えますし、インターネットを自在に操るためにも最新の英語が必要です。

11 秋葉原流れ旅
 裏技の宝庫、秋葉原に行けば、少し古い型のパソコン、プリンタ、TA等が定価の5割から1割で入手できます。多少型が古くても新品のパソコン本体には多数のソフトが付いてくるので結局お買い得です。
 店によっては平日割引があるで、週末に漂流して狙いを定め平日に買うのがコツです。最近のように不用なバージョンアップを繰り返している周辺機器は投げ売り(ジャンク)品が狙い目です。失敗すれば自己責任であり、家電製品も含めて秋葉原は目利きが試される厳しい街でもあるのです。

12 むすび
 パソコンにプレインストールされている Windows95 は使い勝手を良くするための設定がかなり不足していますから、パソコン雑誌に出ている Windows95 の裏技やインターネットの裏技を研究すると便利になります。
今後はモバイルコンピュ−ティングを応用した裏技が出てくることでしょう。
 最後に、パソコン出願の究極の裏技は紙で出すことです。

参考文献
(1) 『電子出願JISフロッピを解析する』「パテント」平成4年1月号(弁理士会)


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